SUPPORTERS

企業内メンタルケアの実例 ~オリンパスソフトウェアテクノロジー株式会社 メンタルケア相談室 小杉佳代子室長に聞く~

今“企業戦士”などという言葉を使うと、死語だと笑われるでしょうか?しかし、今日の社会において、会社の繁栄に尽力する裏で傷つき疲弊してしまう企業マン&ウーマンは少なくありません。事実、労働者健康状況調査報告(平成19年)によると、「仕事や職業生活に関して強い不安、悩み、ストレスがある」とする労働者の割合は約58%にも上っています(平成22年 厚生労働省発表「職場におけるメンタルヘルス対策検討会報告書」より)。 「このままでは、心を病んだ社員が増え続ける一方だ」そんな心配の声が広がる昨今、ようやく日本の企業も社員のメンタルヘルスに目を向けるようになってきました。中でも、オリンパスソフトウェアテクノロジー株式会社(以下、O-soft)は、他の企業に先駆けてメンタルケア相談室を設置し、社員のメンタルヘルス対策に力を注いでいることで注目を集めています。今回は、同社の小杉佳代子メンタルケア相談室室長に、O-softにおける取り組みと企業が為すべきメンタルヘルス対策の理想と未来、そして音楽との関連性について、お話をおうかがいしました。

岡田カウンセラー、小杉室長、豊泉カウンセラー(左から)―O-softでこれほど社員のメンタルヘルスと真剣に向き合うようになった経緯を教えていただけますか?

「ここからは社長がいつも講演でお話されていることなのですが、2000年頃から、製造業界におけるトレンドの変化(ハード主流→ソフト重視へ)により、ソフトウェア開発部門への負担が増大し、現場は疲弊し始め、職員個々が抱えるストレスも大きくなってきました。2003年に約2%だった休職者の割合は4年間で5%へと増加し、退職者に至っては2005年の段階で7%を超えてしまいました。エンジニアの休職や退職による技術の流出など、企業の根幹を揺さぶる問題になりました。」

―それらの現象は、企業に対してどのような影響を及ぼしましたか?

「大きく分けて3つの喪失がありました。まず『利益の喪失』。当社算出のデータによると、休職者1か月分のコスト(休職中の給与・代替職員採用コスト他)は約85万円/1人、10名発生すれば年間約1億円もの順損失が発生する計算となります。次に『技術・意欲・信頼の喪失』技術者減少→トラブル増加→利益低下→待遇悪化→企業に対する失望、といった負のスパイラルが形成されました。3つ目が『労働力の喪失』。退職・休職者急増で技術者不足の事態となり、企業のプロジェクトはストップし、エンジニア採用は困難を増す、といった悪循環が生まれました。」

―なるほど。そこで、O-softとしては見過ごせない大きな問題として正面から向き合う決断をなさったわけですね。

「ええ。まず最初に、これらの問題が発生した原因を分析すべく、5.6人のグループに分けてのフリーディスカッションで社長と一緒に全社員へのヒアリングを行いました。その結果、企業経営が旧態依然で、環境や意識の変化への対応が為されていなかったことが原因と判明。同時に、現場における6つの課題(就業規則・評価体制・開発環境・キャリアパス・企業文化・人間関係&問題解決力)が浮かび上がりましたので、それらの課題を解決すれば、休職・退職の主因であるメンタルシックを減らせるのではないか?と考えました。」

―解決に向けては、どのような取り組みを?

「メンタルシックの真因を仮定し、その仮定に基づいた対策を実施する、といったアプローチを試みました。真因として特に大きくクローズアップしたのが“世代間の価値観ギャップ”です。現在の企業文化は旧世代の価値観(精神主義・ハングリー・競争社会など)によって創られている為、ストレス耐性の弱い若い世代(特に30歳代)がその環境に適応出来ずにいました。この真因を念頭に置きながら、先ほど述べた6つの課題への対策をそれぞれ施し、その一環としてメンタルケア相談室が設置されました」

―メンタルケア相談室の主な仕事とは?

「まず入社時説明。ストレス診断や面談・研修など、O-softにおけるメンタルケア体制の説明を行い、その後、予防学習へと続きます。平素は相談対応が主業務で、もしメンタルシックが発生した場合は部門ごとのサポートをし、発生原因を分析。もちろん、休職者に対するサポートやリハビリテーションプランの作成などフォローも決して忘れません」

―そうした多様な役割の中で、常に注意していることは何でしょう?

「まず、一つのメンタルシックに対して、本人とお医者さんだけの問題ではなく、職場も家族も皆一緒にケアするものだという認識の植え付けと環境作りが大事です。そのことにより、本人が発する小さなSOSを見逃さず、早期の対処が可能となります」

―貴社のメンタルケアには音楽も一役買っているとか・・・

「はい。相談に訪れる方で希望者には癒し効果のある音楽CDをレンタルしています。月に10~20枚は貸し出していますから、かなり需要があると言えますね。又、オフィスのエントランスにも音楽を流し、社員の出社をゆったりとしたBGMで迎える工夫をしています」

O-soft社エントランスBGMにソリチューズをお使いいただいております!

岡田カウンセラー、小杉室長、豊泉カウンセラー(左から)帰り際にソリチューズの音楽をお渡ししたところ、後日「とても心地良い音楽です!さっそくメンタルケア相談室のCDラインナップに加え、又、エントランスBGMにも採用します!」とのうれしいお便りをいただきました。
社員を大切に考え、メンタルケア対策を企業責任として捉えているO-softの姿勢は、これからの企業のあるべき理想的な姿に映りました。
そして、心やすらぐソリチューズの音楽がその一助となることを私たちは願っておりますし、又、確信もしております。

取材:西田 明、文責:相澤 英一

Page Top